就職氷河期世代に新型コロナが追い打ち

新型コロナウイルス感染症の影響で、就職氷河期世代が苦境に陥っている。バブル経済崩壊後の厳しい経済状況のため、安定的な職業に就くことが困難だった40歳代を中心とする人々、日本政府はこの世代の正規雇用を30万人増やすとの目標を令和元年に閣議決定したが、雇用環境の悪化で解雇される人も出てきた。

関係者は、自信を失った人たちに新型コロナが追い打ちをかけていると危機感を募らせている。派遣先等は真っ先に書類選考で会ってみたいなと思う人が面接に呼ばれる、書類には自分の強みを書いて谷他の人と差別化しなければいけない。

1月15日、大阪市浪速区で行われた就職氷河期世代向けのキャリア研修で、キャリアコンサルタントが真剣に語りかけた。参加者4人は深くうなづいた。研修は厚生労働省の「不安定就労者チャレンジ支援事業」の一環として、正社員としての就職を目指す35~54歳が対象だ。

体面とオンラインを組み合わせた2カ月間の研修の後、企業とのマッチングを行い、就職後の定着も支援する。大阪市に住む40歳代の男性は、昨年5月末に派遣会社から派遣切りにあい、再就職が決まらずに、藁にもすがる思いで応募したという。

それまでは派遣先でパソコンのセットアップの仕事をしていたが、昨年4月以降仕事が減り、業務が縮小されたあおりを受け契約を切られた。6月以降は失業保険で暮らしてきたが今月で切れてしまう。派遣社員では真っ先に切られてしまうので正社員での就職を目指している。

兵庫県伊丹市の40歳代女性はフリーデザイナーとして長年働いてきたが、コロナで仕事が急に無くなったといい、正社員には保証があるがフリーランスには無い。有事に厳しいことを痛感し、雇用形態を考えるきっかけになったと話している。違う職種も視野に入れ就職活動を続けている。

求人の多い職種も

就職氷河期世代は1990年代なかばごろからの雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った。不本意ながら非正規雇用で働いたり就職がうまくいかず引きこもりになった人もいるとされ、政府は支援が必要な人は約100万人程度と補足した。

政府は正規雇用者を30万人増やす目標を掲げ、令和元年に行動計画を策定した。令和4年度までに650憶円を上回る予算を投じる方針だ。だが計画の初年度となる今年度、新型コロナにより就職環境は悪化し、昨年8~9月には正社員有効求人倍率は0.78%まで落ち込んだ。

研修に参加した兵庫県の40代女性は、昨年11月、経理事務の求人一人に四千人が応募しているのを見て、採用される気がしないと話している。大阪労働局の担当者は、コロナ禍が続けば雇用調整所資金を活用して雇用を維持している企業が倒産して、更に状況が悪化する可能性もあると懸念している。

一方で保安や介護、建設など、人材不足で求人の多い職種もある。と強調し、ハローワークに就職氷河期世代向けの専用窓口を設けるなどして積極的に支援を続けている。研修を請け負う大原学園就職支援センターの篠藤亮事業部長は不安定な雇用で長い年月をすごし、能力があるのに下を向いてしまった人も多くいる。この世代の困難さにコロナが追い打ちをかけていると指摘した。

研修の講師を務めるキャリアコンサルタントの松本英子さんは、現在の求人状況では自分がやりたい仕事が出来るとは限らないが、過去の職種にこだわらず、変化を怖がらずに視野を広げて欲しいと強調している。そのうえで、自分に自信を持ち、強みを見つけることが大切だと話している。

 

 

 

 

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